ちらっと山羊頭の美人を窺う。と、彼女−−彼?−−はうっとりとそのまなこを潤ませた。
『その冷めた口調……お久しゅうございます……それに、なんて麗しいお声』
(え、えぇえー?)
いやあんたの顔のが麗しいよ。
心中で突っ込んであたしは微妙に引いた。なんだこいつ。
「はじめまして、だよね」
『はい、今のお姿では』
今の、て。
なにそれ。
違う姿なら会ったことあるってか?
あほか。
「それ、たぶん、別人」
『いいえ、覚えていらっしゃらないだけです。直ぐに、分かりました。あなたのその、高潔な魂。美しい魔力』
ぎょぎょぎょ。
寒い。
げー、と青ざめてから、ふと、気付く。
さわさわと、草がざわついた。ミニDVRカメラ
また、鳥の声がする。
魔力?
嫌な予感がばんばんするワードだ。
やべぇ今直ぐこの夢覚めないかなほんとにもー
『あなただけが、わたくしたちの魔王陛下です』
頬をひくつかせて、据わった目で半笑いする。顎がかくかくした。うわ、外れそう。じゃない。
おい。
ちょっとまて。
内心ものすごい勢いで突っ込みつつとりあえず。
花の女子高生にそれはないんじゃね?
それだけは言ってやりたくなった。なんていうかこう、神様みたいなやつに。
魔王とか。
アホか。
カァ、と烏−−っぽく見えるけどよく見ると大分違う烏よりよっぽどアホくさい顔で不気味な鳥が一声する。
あたしは、はん、と空を半目で斜に構えるようにして見やった。
ミニCMOS カメラ

